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骨格筋と肝臓におけるインスリン抵抗性とβ細胞機能不全との関係
投稿日 2018年7月4日 14:30:48 (糖尿病 ダイエット)
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ちはっす。
今回は、骨格筋→肝臓→すい臓がどの様に関連して、糖尿病が発症・憎悪されて行くのか?というお話です。
この仕組みが理解できると、何が糖尿病を発症させ、どうすれば糖尿病を寛解・完治させることができるのか?という理解にもつながります。
*前回までの話は、↓になっています。
筋肉のインスリン抵抗性は脂肪肝が進行する速度を決定する
Pathogenesis of type 2 diabetes: tracing the reverse route from cure to cause
筋肉におけるインスリン抵抗性は、カロリー過多と共に脂肪肝の発生を促進する。
一旦確立されると、血糖値を維持するために必要とされるインスリン分泌の増加は、肝脂肪沈着をさらに増加させる。
循環し局所的に沈着したトリアシルグリセロールから誘導された、増加した脂肪酸のβ細胞への曝露は、グルコース媒介インスリン分泌を抑制する。
2型糖尿病の病因の本質的な時間順序は明らかである。
筋肉インスリン抵抗性は、脂肪肝が進行する速度を決定し、肝臓および膵島における異所性脂肪沈着は、肝インスリン抵抗性およびベータ細胞機能不全の関連する動的欠損の根底にある。
これらの欠損は、低エネルギー供給条件下(カロリー制限)で、初期糖尿病において、そしてより確立された疾患において価値ある程度まで、劇的な逆転(つまり、寛解)が可能である。
上記は、欧州糖尿病学会の学会誌に掲載された論文です。
カロリー過多というのは、脂肪肝の直接的な原因ですが、それを形成する速度、肝臓脂肪が貯まり易いかどうかというのは、筋肉のインスリン抵抗性が関係しているということです。
つまり、筋肉の質と量の変化によって、脂肪肝が形成される速度が変わるということです。
筋肉の質の変化、例えば、TNF-α等のサイトカインや遊離脂肪酸が体内で増えたり、骨格筋に異所性脂肪が沈着等、何らかの直接的な原因で骨格筋のインスリン感受性を障害する場合、あるいは運動不足そのものがGLUT4の量を低減させたり、筋肉の量の変化、すなわち筋肉の減少自体もGLUT4の減少や筋グリコーゲン貯蔵量の低下を招きます。
インスリン抵抗性とは、一定量のインスリンの効果が低下している状態のことですから、骨格筋が減少すれば、相対的にインスリン抵抗性は上がることになります。
身体にインスリン抵抗性が起こると、すい臓のβ細胞は増大する
インスリン抵抗性が上がると、血糖値は上がることになるのですが、実は上記のような初期インスリン抵抗性の状態では、目に見えて血糖値が上がる訳ではありません。
一般的に言われているような言い方をすれば、すい臓のβ細胞がインスリン分泌を増やして対応するからです。
正確に言えば、身体はインスリン抵抗性が惹起された当初はβ細胞を増やして、結果インスリン分泌を増やしています。
ですから、妊娠時にインスリン抵抗性が上がったり、肥満等による初期インスリン抵抗性の状態の時、β細胞は増殖しています。
この事実は知っていた方が良いです。
何故なら、糖尿病関係のインチキサイトやブログ(特に糖質制限系)では、この初期にインスリン分泌が増えることを「β細胞を酷使してインスリンを分泌」と説明し、「だから糖質制限でβ細胞を休養させる」というインチキ理論を展開しています。
事実を知らなければ、何となくもっともらしく聞こえ、コロっと騙されるかもしれません(笑)
実際には、β細胞を増殖させインスリン分泌を増やしています。
そして、それでも尚、放っておけば、β細胞の機能不全が進行し委縮して行くことになり、最終的に糖尿病を発症することになります。
つまり、すい臓のβ細胞というのは、酷使されるから弱って死んで行く訳ではなく、β細胞の機能不全やアポトーシス(細胞死)が進行して行くことにより萎縮して行きます。
そして、糖尿病患者の体内環境というのは、このβ細胞の機能不全や細胞死が起こるための絶好の条件が兼ね備わっています。
ま、言ってみれば「どうぞ死んで下さい。」と言っているようなものです(笑)
脂肪肝は肝臓のインスリン抵抗性を増大させる
さて、とにもかくにも骨格筋のインスリン抵抗性が上がり出すと筋肉が糖を吸収しにくくなり、糖が余り出し、余った糖の対処のため、インスリン分泌が増えます。
余った糖は、肝臓において脂肪の合成に使われ、ますます脂肪が増えることになります。
そもそも、骨格筋のインスリン抵抗性というのは、ほとんどすべてと言って良いぐらい運動不足が関係していますから、この時身体は、ATP需要の少ない状態にあります。
ATP需要の少ない時というのは、ミトコンドリアのTCA回路での代謝も抑制されます。
TCA回路の代謝が抑制されると、クエン酸が細胞内に蓄積し、クエン酸はミトコンドリア膜を出てアセチル-CoAに戻されます。
アセチル-CoAは、マロニル-CoA経路で、活性化されたアセチル-CoAカルボキシラーゼにより、マロニル-CoAとなり、最終的に脂肪酸(パルミチン酸等)に合成され、ますます身体は脂肪漬けになって行きます。
ありとあらゆることが悪循環へ一直線に向かっていく訳ですが、ここでグータラに食い意地が加わると、もはや事態は収拾がつかない状況になります。
上記は、米国糖尿病学会の学会誌に掲載された論文で、「肝臓脂肪含有率の高い肥満女性における体重減少とインスリン抵抗性の影響」を調べたものです。
論文によれば、肝臓脂肪は皮下脂肪量よりも、食事中の脂肪の量に関連しているそうです。
つまり、脂肪肝というのは、高カロリー、高脂肪食、運動不足という三位一体のものだった訳です。
と言いますか、普通に生活習慣病です(笑)
そして、一旦脂肪肝が確立すると、ますます肝臓での脂肪合成は亢進し、ますます肝臓脂肪は増え、増えた脂肪により肝臓でのインスリン抵抗性が上がり、肝臓でのインスリン抵抗性が高まるとますます肝臓での脂肪合成が増え・・・と、無間地獄のようになって行きます。
増加した脂肪酸はすい臓のβ細胞を障害する
高カロリー、高脂肪食、運動不足により形成された脂肪肝は、それ自体が肝臓でのインスリン抵抗性を高め、ますます肝臓での脂肪合成が増え、身体中は脂肪漬けになり、各臓器は脂肪に晒されることになります。
ほどなく、すい臓にも脂肪酸は流入し、すい臓において内臓脂肪を形成し出し、β細胞は脂肪酸に晒されます。
β細胞が高脂肪環境に晒されると、β細胞の機能不全は進行して行き、β細胞の死滅が進んで行くことになります。
インスリンの機能的低下とは何か?【インスリン抵抗性とインスリン分泌不足】
こうして、β細胞は徐々に委縮して行くことになり、結果としてインスリン分泌は減って行きます。
そして、ついにはインスリン抵抗性とインスリン分泌の拮抗点が崩れた時(インスリン分泌の低下により血糖の対処ができなくなった時)、めでたく病院で「糖尿病」と診断されることになります。
結論
ここで、最初に紹介した欧州糖尿病学会の論文に戻りましょう。
論文の結論では、
2型糖尿病の病因の本質的な時間順序は明らかである。
筋肉インスリン抵抗性は、脂肪肝が進行する速度を決定し、肝臓および膵島における異所性脂肪沈着は、肝臓インスリン抵抗性およびβ細胞機能不全の関連する動的欠損の根底にある。
これらの欠損は、低エネルギー供給条件下(カロリー制限)で、初期の糖尿病において、劇的な逆転(寛解)が可能である。
と述べられています。
論文の結論なので、堅苦しく書かれていますが、要するにこれは、
デブは痩せろ。話はそれからだ。
ということです。
モヤシのグータラは運動しろ。
とも言えます。
そして、この論文の結論は、以前の記事、
世界の最先端では既に糖尿病は治っている!糖尿病完治とは何か?
で紹介した論文に続いて行くのです。
Source: 糖尿病も3ヶ月で完治する
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